サニーデイ・サービス 『本日は晴天なり』

再結成アルバム。
サニーデイ・サービスというバンドは、僕がロックを聴き始めた頃によく聞こえてきていて、特に「恋人の部屋」がミュージック・スクエアのオープニングかなんかですごく気に入って、ロック思春期のひとつの象徴たる一曲なのです。だけどオリジナル・アルバムは多分中古で『愛と笑いの夜』を持ってるぐらい、本格的に音源が買える頃には末期でした。ベスト・アルバムは二枚とも買って聴き倒し、特に「サマー・ソルジャー」と「夜のメロディ」はカラオケで八割方歌います。
…何が言いたいかというと、再結成のニュースにテンションあがったということです。
曽我部恵一のソロ活動に関しては、確か一作目のあまりのローファイな音が耐え難くて離れてしまったような記憶があるので、新作はまったくそれ以来だったのです。でもその間もベストは聴き倒し、歌い倒していたので、不思議と懐かしい感じはあまりなく。風情のある詞とメロディ、スウィートな声。サニーデイのフォーク・ロック、その良質なセンチメントに心地よく浸れる一枚です。
ただ、ソロを通過していないというのも一因なのだろうけど、スウィートではありながらも、なんか昔より掠れてくぐもった、ブルージィに変質したような声に違和感を拭えませんでした。そのニュアンスがいい方に出ている曲、フレーズもあるけどさ。
上記したようなかつての傑作群に比肩できるような名曲こそ見当たりませんでしたが、「五月雨が通り過ぎて」のセンチメンタルなポップネスから、「Dead Flowers」の哀感への流れは出色でした。

偶然に誰かと出逢う
突然に恋におちる
そしてなにもなかったようにある日別れる
五月雨が通り過ぎて きみの匂いを消してゆく
いつかはぼくらぜんぶ 忘れてしまうのだろう
(「五月雨が通り過ぎて」)

晴れた日にぼくら別れる
嘘のように
晴れた日にぼくら出逢う
幻のように
どこへ行こうか?
(「Dead Flowers」)

ソロと並べて語れないのが口惜しいけど、やはり日本ロック史上屈指のソングライタだと思うわ。

本日は晴天なり

本日は晴天なり