角田光代『幸福な遊戯』角川文庫

ネタバレ一応注意。
表題のデビュー作含む短編集。
大昔になんか…確か『東京ゲストハウス』とかいう作品だったと思う…を読んでて、それは高校生時分「ヌルいなー」とか思った記憶があったんだよね。だからモラトリアムの共同生活、その「場」というテーマ性の共通する表題作にも同じ印象はあって、主人公も好きになれず、いまいちのれなかったんだけど。
でも、その後の二作はよかった。「無愁天使」に描かれた、消費に耽溺する壊れた家族の姿や、「銭湯」で様々に描かれる、孤独な女性の身体性。エンタテインメント的に、あるいは文学的に、トガって面白い部分が明確で。愉しめました。
文章もいかにも女性作家らしいこまやかなものだけど、同時に冷静さが感じられて。面白いバランスだと思う。
評価はB−。

幸福な遊戯 (角川文庫)

幸福な遊戯 (角川文庫)