『少年メリケンサック』

@みなとみらい109。
封切り二日目。満員ソールドアウト。これが国民女優の底力か。
二時間あっという間。そして笑いっぱなし。だけど愉快なだけの映画じゃなくて、そこここにパンクロックに対するリスペクトや、音楽シーンに対する批評性をのぞかせ、サブカル趣味を満足させる小ネタを仕込む、さすがは当代随一の脚本家が、もちろん演出も含めて、愛着のある題材を手塩に掛けて磨き上げた仕事です。
一番笑ったのは村井だけそのまま村井だったことと、池津祥子のあまりにもリアルな東北のおばちゃん芝居。後者は満員の劇場で笑ってたの俺だけだったけどな。不勉強な俺は「IWGP」以来久々に見たけどやっぱりあの人面白いわ。まあクドカン自身東北人やで確信犯的演出であろう。
キャストで言えば、田口トモロヲがちょっともったいなかった気もする。せっかくパンクバンドのボーカルなんて経歴と重なるハマリまくりの役だったんで、もっと芝居見たかった。一番の見せ場がパンチラ見れなくて泣く芝居だからなw その辺はクドカンのバランス感覚かもしれない。あと、勝地涼が見事にキモくて新境地だった。
さて。とはいえ本筋はうちのコに惚れ直しましたよ、という話。

揺れませんが!?

が今回ベストでした。
宮崎あおいという女優は、もう十年も映画業界で礼賛され続けているもはや神格化された存在ですが、不思議とフィルモグラフィにおける「代表作」がないのですよね。僕もたとえば人に宮崎あおいの映画でおすすめを訊かれた際に、「うーん『ユリイカ』『害虫』は評価高いし面白いけど暗いしなあ…かと言って『ただ、君を愛してる』だと死ぬほどかわいいけど話クソだし…思いきって『パコダテ人』…いや、あれはカルトだ」みたいに煩悶することが多かったのです。結果、

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↑の擦り切れたVHSテープを貸したりしてたわけです。DVD化おめでとうございます。
で、もはやその必要もなくなったのかな、と。この映画に見られるコメディエンヌとしての適正の高さ*1、この映画を彩る陽性の輝きは、フィルモグラフィ上では異色作ながらも、現時点での「代表作」として『少年メリケンサック』を推挽するのに十分に、というか圧倒的に、もうとにかく魅力的でした。
今日も一日ニヤニヤしてたぜ。

*1:なんか「初コメディ作品」みたいな記述を目にしてたんだけど、やっぱ『パコダテ人』は黒歴史か?