花村萬月『渋谷ルシファー』集英社文庫

ネタバレ特になし。
道玄坂のブルース・バーに集う人々を描いた、青春小説でもあるし、ビルドゥングス・ロマンでもあるし、アウトロー小説としても読める。あと官能描写はやはりエロい。
ただやはり、これはなんといっても「音楽小説」だろう。『ゴッド・ブレイス物語』のバンドが再登場し、新たなディーヴァを加えつつ奏でられるこの小説には、作者が繰り返しモチーフにするだけの必然性と、説得力を宿したブルースが鳴っている。
卓越した文章だけでなく、ディテールの配置のセンスにも多くを拠っているが。残念ながらロックの分野で、こうかっこいい小説読んだことないな。
評価はB。

渋谷ルシファー (集英社文庫)

渋谷ルシファー (集英社文庫)