町田康『浄土』講談社文庫

ネタバレ一応注意。
短編集。
長編よりさらに好き勝手やってる感。そのパンキッシュは魅力的だが、いささか散漫かも。
とりあえず、「ビバ、カッパ」の名フレーズに既視感がある「どぶさらえ」、雑誌掲載時に読んでた気もするが名作だ。

でもしかし富久縞さんも会議に早く来ていた。ということはやはり富久縞さんも彼らの一味なのか。気の毒そうな顔はしているけれども実は奴らと一緒で腹の中では俺を笑っているのか。くそうもしそうだとしたらビバカッパ、腹が立つし、それに俺はひとりであんなにむきになって、それを富久縞さんに見られてたと思うと恥ずかしく身の置き所がないような気がして、俺はたちあがってそこいらをぐるぐる歩きまわる、ぐるぐるなガイ、くるくるくるくるなガイ。インナークールガイ。
(「どぶさらえ」72-73p)

意味不明w
あとはなんだろう、筒井康隆的というか、自著で言えば『実録・外道の条件』的というか、出版ギョーカイの仕事上の鬱積が大きく影を落としている気がしたぞ。どっかのデカいギタリストの話もいつか読めるかしら。
評価はB。

浄土 (講談社文庫)

浄土 (講談社文庫)