加納朋子『ぐるぐる猿と歌う鳥』講談社文庫

ネタバレ注意。

北九州に引っ越した小学生が出会う、仲間たちと不思議な謎を描くジュブナイル・ミステリ。

ミステリーランドの一冊らしく、気合の入ったジュブナイルぶり。主人公と周りの子供たちとの交流、探偵役の現実から少し遊離した造形など、「地」になる部分がいずれも爽やかで瑞々しく描かれ、作家の美点が発揮されていると思う。

惜しむらくは気合の入りが勝って、いろいろと盛り込みすぎて消化不良になっているところかな…お化け屋敷とかいかにも拙速だったし、パックも「あや」も、もっとじっくり描写を重ねてほしい場面が多かった。ちょっともったいなく感じました。

評価はC+。