eastern youth "極東最前線/巡業〜地球の裏から風が吹く〜"

2008.2.2@名古屋クラブクアトロ
ニューアルバムレコ発の「巡業」。土曜日ともなればクアトロも大入りだ。
大地の鳴動と空を走る雷鳴を同時に描くサウンドスケープ。ツアーも数をこなして、コンディション的には疲弊もうかがえないではなかったが、スリーピースバンドとしての稠密とスケール感はいつ観ても圧巻だ。つかもう語りつくしただろう、イースタンのライヴの素晴らしさなんて。そんなに言葉も残ってないよ。
ツアータイトルにもなっている新しいアルバムの感想で「滋味」といった言葉を使ったように、「白昼の行方不明者」「夜がまた来る」といったスローなナンバの哀感に感興が大きかった。音源の時点では。しかしこの日のライヴ、「滑走路と人力飛行機」「五月の空の下で」といった早い曲を本当に楽しそうに演る吉野の姿に、問答無用でアガった。「沸点36℃」なんて完全無欠のアンセムは論外。昔からずっとストイックな印象がライヴでは強かったのだけど、最近はなんか笑顔の時間が増えてる気がして。それはとてもとても素晴らしいことだと。
ライヴの前日、《君が目の前に現れて/俺に何かを求めるなら、/俺に出来る事の全てを/素手で手渡したいと思う。》とかっていつになくマジな言葉を、普段は酔っ払ったことしか書いてない日記に書いていて、俺はそれだけでちょっと泣いていたけど、その真摯さ、孤高の詩情が表現として開かれた時の破壊的な喚起力が、感受性を徹底的に殴打する夜だった。

旅行者たちの憂鬱は
旅立ちの裏返しさ
重い荷物と
光と影
瞼を閉じれば
俄に消える影だから
嘘でも良い
微笑んでくれ
(「旅行者達の憂鬱」)

日産ホーミーに運ばれていく、旅行者達に幸あれ。

セットリスト:1.地球の裏から風が吹く 2.滑走路と人力飛行機 3.五月の空の下で 4.野良犬、走る 5.ギラリズム夜明け前 6.青すぎる空 7.いずこへ 8.雨曝しなら濡れるがいいさ 9.旅行者たちの憂鬱 10.踵鳴る 11.白昼の行方不明者 12.サンセットマン 13.沸点36℃ en. 1.夜がまた来る 2.赤い胃の頭ブルース 3.荒野に針路を取れ