RADWIMPS 「オーダーメイド」

野田節大炸裂、一年以上ぶりの新音源。
ループする淡々として美しい音に、存在の意味を問う「神との対話」をのせていく曲の基本構造は、野田洋次郎というソングライタ、RADWIMPSというバンドの本領の最もラディカルなカタチだと思われる。
たとえば《一番大事な心臓》を《両胸につけてあげる》と言う《その人》の提案を、左胸のそれだけでいいと断わって、彼はこう言う。

僕に大切な人ができて
その子抱きしめる時はじめて
二つの鼓動がちゃんと胸の
両側で鳴るのがわかるように

左は僕ので右は君の
左は君ので右は僕の
一人じゃどこか欠けてるように
一人でなど生きてかないように

…どんだけ詩人やねん。
人が人の形として存在するということが、ただ目の前のあなたとケンカしてキスして抱きしめて涙に咽んで思い出を作るためなのだという、いかにも彼らしい存在論。六分に渡って展開されるのは、ただひたすらにそれだ。
かつてこのようなピュアな哲学を、ここまで根源的かつ徹底的に、至上のロマンティシズムと詩的センスを以ってロックとして成立させたミュージシャンはいなかった。その決定的な「新しさ」が、シンプルに呈示された作品と言えるだろう。
なんかオリコン一位らしいが、ラッドにしろチャットモンチーにしろ、優れたロックがこうして日の目を見る状況は好ましいものだと思います。

オーダーメイド

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