桜庭一樹『ブルースカイ』ハヤカワ文庫JA

ネタバレ一応注意。
魔女狩りの嵐吹く中世ドイツ、テクノシティの近未来シンガポール、そして現代日本が結びつくSF。「せかい」という単語が頻出するのだけれど、「セカイ系」的な痛々しさはあまり見受けられない。中世ドイツのゴシック感、近未来シンガポールのテクノ的浮遊感、どれも落ち着いた筆致で描かれており、地に足の付いた上質な読み物としてこの小説はある。
正直『GOSICK』と同じ作者とは思えないのだが、最近は作品を上梓するたびに評価がうなぎのぼっているのが頷ける、その確かな萌芽がここにはある。
まあ主題は結局よく分からんのだがね。
そして表紙がえらい綺麗。
評価はB−。

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)