道尾秀介『背の眼』幻冬舎文庫

ネタバレ注意。
一応メインのシリーズになるのかな。初の文庫落ちなのでだいぶ期待して読んだのです…が。
「ホラーと本格の融合」を志すのであれば、本格部分はもっとガチガチのロジックで固めないとバランスが悪いと思う。単なる符合であったり、ましてサイコで片付けられてしまうと、俺はどうしてもグダグダ感が拭えなかった。まあ基本的にホラーに根ざして、ミステリ的なサプライズや、カタルシスを取り入れよう、という姿勢であればこれでもいい、というかその志向の結果こうなったような気がする。*1でもそれじゃあ、なにより本格ミステリ業界において期待される気鋭としては寂しいです。
大枠の構成から「現代版京極」というような印象はやはりあったし、そうして読むと本家の偉大さが際立つな。でも特に「芋虫」的な描写のあたり、ホラー部分は怖くてよかった。
評価はＣ。

背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)

背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)

*1:ホラー系新人賞の応募作だし。でも何より綾辻に読んで欲しかったみたいだけど。