恩田陸『まひるの月を追いかけて』文春文庫

ネタバレ注意。
消えた異母兄を捜して奈良を歩く、トラベルミステリ。
「死者の都」を含意して描かれる奈良には雰囲気があるし(修学旅行で行ったけど鹿しか憶えてねー)、出家、というオチはともかくとして、ラストシーンも悪くなかった。
異母きょうだい、地方都市の進学校、異性間のノーブルな友情…と、いかにも恩田的なガジェットを散りばめて展開してるし、この作家の書くものが好きな読者であれば、一定程度の満足は保証されるだろう。
だけど俺は、この作家に要求は高く…満足はできなかった。構成にも展開にも、緊張感が足りない。
評価はC。

まひるの月を追いかけて (文春文庫)

まひるの月を追いかけて (文春文庫)