恩田陸『クレオパトラの夢』双葉文庫

ネタバレ一応注意。
『MAZE』にも出てた(らしい。確かに読んだハズだが作品の記憶がまったくない)神原恵弥を主人公に、函館丸出しの「H市」を巡る、恩田流のトラベル・ミステリ。
高校時代のGLAYが演ってたらしいハコ見に行ったことしか憶えてないけどw、中学の修学旅行で行ったこともある函館の町は、なかなか魅力的に描けていると思う。クレバで、トランス・ジェンダな恵弥のキャラクタもいいアクセントになってる。ミステリ、あるいは冒険小説的なプロットの部分に関しては、最近の恩田作品に共通する「イメージ先行の脆弱性」が見えるが、リーダビリティがしっかりしているので読まされてしまうんだなあ…。
たまに顔を出す社会批評みたいな文章がダサいのでそこは減点。
作品の評価はB−。

クレオパトラの夢 (双葉文庫)

クレオパトラの夢 (双葉文庫)

2/4追記
あ、なんかに似てると思ったらあれだ、『羊をめぐる冒険』に似てる。既読の春樹んなかで一番好きだし、だから印象良かったんだな…。