ネタバレ注意。
七編収録の短篇集。
なんかちょっと、舞城も薄味になったなーなんて思って読んでたんだけど、「代替」とか「縁起」とか、終盤の作にいろいろな感情が揺さぶられて、やっぱりさすがだと思いました。
生きていること自体が善を行うことと同義なのは、生きるために人は周囲により良きものをもたらすことが決定付けられているからだ。
(「代替」、182p)
こんなコト言ってる人います?
「代替」は善悪や医療倫理、赦し、復讐、再生…と主題が横溢する超濃度短篇。「縁起」も短篇らしい尖鋭性を保ちつつ、短篇にあるまじき感情のジェットコースタを体験させてくれる快作。
(前略)それでも家族は仲良しだ。
おれが妻の股間を『豚の神殿』とふざけて呼んだときくらいだ、険悪になったのは。
もちろん俺はきっちり立派に謝ったぜ。
(「縁起」、265-266p)
最高だろこんなラスト。
評価はB。