ネタバレ特になし。
断絶を知りてしまいしわたくしにもはやしゅったつは告げられている
1960年、安保闘争の嵐の中で自ら命を絶った学生歌人の「恋と革命」を描く評伝。
もっとこう、フラジャイルな感性の人かと思ったけど、ここで読む限り、事前のイメージより痛々しい/面倒くさい人ではあったな。
血と雨にワイシャツ濡れている無援ひとりへの愛うつくしくする
美しき誤算のひとつわれのみが昂りて逢い重ねしことも
しかしこうした代表歌は、時代とそうした感性が見事に切り結んだ結実だとは感じた。
その他いくつか備忘。
プラカード持ちしほてりを残す手に汝に伝えん受話器をつかむ
面ふせてジグザグにあるその姿勢まなうらながら別れは言えり
あと同時代で小野茂樹という存在を知れたのが収穫だった。枡野浩一でほぼ唯一好きだった歌、あれも本歌取りやないか…。
記録のみ。