出口和明「大地の母 3 地獄の釜」「大地の母 4 立春の光」あいぜん出版

ネタバレ注意。

《地獄の釜の焦げ起こし》…出口直・澄母娘を中心に、貧苦の底への降神を描く3・4巻。

やっぱこの流れのが面白いわ。明治期の農村で、いかに前近代的な人権無視が行われていたかの貴重な証言。《地獄の釜の~》もそうだけど、《三千世界一度に開く梅の花》だの、《三千世界を一つに丸めて、万劫末代続く神国の世にいたすぞよ》だの、異常なパンチラインパワーワードに事欠かないんだけど、それが貧苦に喘ぐ、文盲の老女の口から飛び出したものだと思うと、その心象風景の壮絶はやはり凄まじいものがある。

二代目・澄の勝気で健気な肖像も印象深く、なかなか周到な、まだまだ序盤戦です。

記録のみ。

大地の母―第3巻(地獄の釜 )

大地の母―第3巻(地獄の釜 )