ネタバレ注意。
《地獄の釜の焦げ起こし》…出口直・澄母娘を中心に、貧苦の底への降神を描く3・4巻。
やっぱこの流れのが面白いわ。明治期の農村で、いかに前近代的な人権無視が行われていたかの貴重な証言。《地獄の釜の~》もそうだけど、《三千世界一度に開く梅の花》だの、《三千世界を一つに丸めて、万劫末代続く神国の世にいたすぞよ》だの、異常なパンチライン、パワーワードに事欠かないんだけど、それが貧苦に喘ぐ、文盲の老女の口から飛び出したものだと思うと、その心象風景の壮絶はやはり凄まじいものがある。
二代目・澄の勝気で健気な肖像も印象深く、なかなか周到な、まだまだ序盤戦です。
記録のみ。
- 作者:出口 和明
- 発売日: 1994/01/01
- メディア: 文庫
- 作者:出口 和明
- メディア: 文庫