ネタバレ注意。
種々のドラッグに関するエッセィ集。
こないだの『ビジネス・ナンセンス事典』とは逆に、ラリってて無軌道な内容だけど、その分無闇矢鱈に面白いわ。ドラッグに関する薀蓄や体験記の中に、死んでしまった友人たち、過ぎ去ってしまった時間への哀惜と寂寥が滲む。これぞ中島らもというべき、透徹として愛すべきエッセィ集。
僕は馬鹿だが、かつて一瞬でも悲惨であったことはない。"十年ブロン"や"二十年一升酒"をやってきた。これは「因」だ。「果」としていまこの少しつらい自分がある。しかしこの自分もまた「因」だ。次の「果」がくる。
そうして、因縁にからめとられ、少しずつ姿かたちを変えながら、我々は時間の河を渡っていくのだ。死に向かってではない。生に向かってだ。
(95-96p)
評価はB+。
- 作者: 中島らも
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/03/19
- メディア: 文庫
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