霞流一『牙王城の殺劇』富士見ミステリー文庫

ネタバレ注意。
「フォート探偵団ファイル1」と題された…その後続刊があったか定かでないが…シリーズ。超常現象…フォーティアン・フェノミナの追及に青春を浪費する高校生男女三人組(と顧問教師)が、ワニで財を成した富豪の「城」で殺人事件に巻き込まれる、スラップスティックジュブナイル・ミステリ。
…まあ、お話もキャラクタも、事前の想定通りの安っぽさだったけど、本格としてのキモである天守閣の消失と、その必然性の部分については、なかなかキレイにまとめてきてた。ステンドグラスを使った犯人同定も小粋なので、普通に幻想的な本格として成立させ得た素材だと思うんだけど、それをこうした時代の仇花的なレーベルにおいて、チープなドタバタにつぎ込んでしまうあたりが、さすがはバカミスの帝王と言うべきか…褒めてるかは微妙。
評価はC。