『怒り』

試写会@東宝試写室
2時間半の長丁場でしたが、緊張感と感情への侵食力の持続する、なかなかにへヴィながらも充実した作品でした。
並行して描かれる三つの物語の中で、「信じること」をめぐって描かれる感情は、それぞれに胸を浸してくるけど、ただ一点、タイトルに冠された「怒り」の所在だけは、中心に大きな空虚として存在したままで。端役の口から、それらしいことが語られはするけれど、それをそのまま受け取るわけにはいかないような思いもして。それは『ゆれる』のラストカットで、観るものに突き返された視点と同じものを問うているようにも感じられた。
原作は未読だけど、特に田中と愛子はこの映画版でかなりの深化をしたんじゃないかと推測される。端的に圧倒的な芝居でした。