第94回天皇杯全日本サッカー選手権 決勝 モンテディオ山形 1-3 ガンバ大阪

2014.12.13@日産スタジアム
恍惚の12月を締め括る、日本サッカー史上最も歴史のある大会の決勝戦。このハレの舞台に、元日の国立でやりたかったなどと野暮は申しますまい。
試合前のメディアには、J1最終節の徳島の戦いを引いて、「引きこもってカウンター」などというコメントを出してもいた石崎監督ですが、そこはさすがの策士、なんてことはないいつも通りのハイプレスサッカーでした。
そうしてシーズン継続してきた山形のサッカーを見せてくれたことは嬉しかったのですが、そのハイプレスを受け流すだけの技術が王者ガンバにあったのも確かなことで。ロングボールやカウンターを起点に、早い時間で効率的に点を取られてしまい、そうなるとハイプレスの目標となるべきボール回しのリスクも最小化され、相手にとっては常に心理的優位に立ったゲームをされてしまった印象でした。
それでも後半、攻守に機能しなかった伊東を下げ、舩津を入れてシステム再整備して以降は攻撃が機能、WB追い越した左CB(石川)からのクロスに、ゴール前でボランチ(松岡)も絡み、3トップの一角(ロメロ)が点を取るという、全員守備全員攻撃の理想を体現したようなゴールで反撃の機運も高まりましたが、攻めに出て交代枠使い切ったところで出ずっぱりだった山田が足を攣る→追加点、でジエンド。ボムのサスペンションで本来のポジションではないところで起用された伊東には同情の余地もありますが、度重なるボールロストが反対側のWBの負担になったのも確かではあったでしょう。しかしチーム全体の問題として、一点目のシュートのこぼれの反応にせよ、二点目の倉田のランニングへの対応にせよ、三点目のバイタルのケアにせよ、プレイオフ決勝千葉戦ではできていたディフェンスの集中に、若干のレベルの低下が見られたようにも感じられました。
そう、しかしそれはガンバとの埋められない実力差でなく、あくまで自分たちが高めていくべき精度の問題であるというポジティブな現状認識として。結果はもちろん悔しいものだし、クラブ史上最大のチャンスを逃した事実を前に「ACL出れなくて助かった」なんて負け惜しみにもならないけど、それでも来シーズンのさらに厳しい戦いを前に、微かではあっても確かに明るい灯の点る、今シーズンのラストゲームでした。
クラブに携わるすべての人々に感謝します。素晴らしいシーズンをありがとうございました。