松田青子『スタッキング可能』河出書房新社

ネタバレ一応注意。
いずれも「女性的」な三本の短編と、その合間にコント(?)が三つ。
現実的な「女性」性を批評的に描きつつ、でも同時に現実を遊離した、オリジナルな世界観。俺はどの作品にも(狂騒の中にあってもなお)「孤独」を強く感じて。そうあるからこそいろいろなものごとを深く感じられるし、考えられるし、自分と他者を大事に思うことができる、そうした可能性の小説として読んだ。
そんな「文学」性に思いを馳せずとも、キレのいい文章とユーモアからなる抜群のリズムはとても楽しく、エンタテインメント性は充分に担保されている。そんなところはこの本で最もどうでもいい部分の一つだって分かってはいても、広瀬香美disには腹抱えて笑ったよ。
評価はB。

スタッキング可能

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