『アルゴ』

DVD。
在イラン米大使館占拠と、カナダ大使公邸からの大使館員救出を描く史実に基づいたサスペンス映画。アカデミー作品賞。
「映画のロケハン隊になりすまして脱出する」って作戦内容の素っ頓狂さからして、なんか勝手にブラックユーモアの効いたポップな作品を想像していたので、裏切られました。その作戦手段も「最悪の中での最高」としてやむを得ず選択された至ってシリアスなもので、序盤のハリウッド・パート除き、かなりの閉塞感と緊迫感が絶え間なく続く、非常にハイプレッシャな120分。しかしそれからの解放のカタルシスハンパない。離陸時、普通に拍手。
サスペンス/コンゲーム映画としてのこの緊密さを演出した監督としての手腕はもちろん、ベン・アフレックはそのどこか朴訥茫洋とした存在感でキャラクタを味付け。『パール・ハーバー』以来だったのでナメてたけどいい味だった。でもキャストのベストはサハルだな。超カッコよかったよ。
しかしアメリカ人であるってことは、世界のどこかでこれだけのリスクに常に晒されるってことなんだね。それはこの時代のみならず、もちろん現在の世界においても。いや、時と場所によっては自分だって背負わなきゃいけないリスクなんだろうけどさ。
そりゃこういう映画でも作って肯定していかなきゃやってられんわな、と思うのでした。