平山夢明『メルキオールの惨劇』ハルキ・ホラー文庫

ネタバレ一応注意。
ホラー長編。悲惨な状況で死んだ人間の「遺物」の収集家に使われている主人公が、ある家族に潜入し、かつて母親に斬首された息子の「首」を捜す、というお話。
あらすじからして滅茶苦茶ですが、その通りにダーティでナスティ、キッチュだけど一部*1ハイブロウ、カオティックな平山ワールド。
粘着質な文体と乱高下するテンション、独特のホラー・ファンタジックな世界観が構築されていて、他にない読書体験が味わえます。リズム掴めば一気だけど、俺はちょっと手間取ってしまった。しかしさすがは国内ホラーの先頭に立つ作家、という感じはします。
しかし上に書いた根本のアイデアの悪趣味さは笑える。これでシリーズ回せるだろうけど、書いてないっぽいね。どっか書かせろよ、もったいない。
評価はB−。

メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)

メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)

*1:メルキオールとバルタザールの覚醒時。普段は白痴。