駕籠真太郎『フラクション』コアマガジン

バカミスの怪作との評判。
…だったので読んでみました。
確かにバカさとグロさが振り切れていて、なかなかに面白かったです。メタどうでもいいなーと思って読んでたら、まったく予想もしていなかった奇想がやってきて、唖然としつつ笑ってしまいました。真相が明かされて以降はシュールな画が続くけど、特に122-123pの見開きのあたりはなんとも形容し難い壮大バカw 始まるか、そんなもんw
この作家は丸尾末広のフォロワというイメージがあったのだけど、画にしろバカっぷりにしろ、この作品はむしろ木多康昭に近い。あのデッサンの崩れは必然やったんやなー。途中まで諸星大二郎を彷彿してたのはナイショだ。
いくつか短編併録、「還って来た男」はイメージ通りまんま丸尾末広(を下手にした感じ)だったけど、「倒壊」「震動」といったあたりは意外と松本大洋的な味わいを感じたり*1、「隔靴掻痒」は伊藤潤二っぽいなあと。あまり他の作家でたとえられてしまうのはよくない状況だと思うけど*2、まあ千変万化であるとは思う。
いろいろ描けるのだろうけど、特にこの本では霞流一と対談なんてしてることだし、バカミス路線もできるなら継続して欲しいなあ、と。

フラクション

フラクション

*1:描線の感じから言ってるだけで、ホントはもっとドンピシャの作家がいるのかもしれないけれど。

*2:特に丸尾と伊藤なんて、ホラーマンガで他に誰いるねん、てレベルの大家だし。