『イル・ポスティーノ』

年末DVD鑑賞その2。
いい映画です。いい映画観ると幸せな気分になるよね。
イタリア、カプリ島。亡命の詩人パブロ・ネルーダと、島の郵便配達人の交流を描いた作品。
「友情」と「言葉」の、その力を信じた表現だと思いました。ドン・パブロとマリオが育んだ友情と、授けられた「隠喩」…言葉の力。場所と時間、あるいは存在を超えて、形を変えても残り続ける、本当に大切なものを、作り手皆が信じていると、ごく自然に感じられました。美しい風景と音楽、そしてなにより登場人物たちの純朴な瞳と表情によって形作られたこの映画が、そのなによりの結実であると、そんな風に。
ただでさえ落涙しながらエンドクレジットを見ていたのに、そこに改めて記された主演/脚本、マッシモ・トロイージの名前にまつわる物語を知ると、この作品はなにか奇跡的な運命によって成立した映画なのではないかと、そんな風にも思えてしまうのでした。
深い哀しみと幸福を湛えた、問答無用の名画です。

イル・ポスティーノ [DVD]

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