五十嵐貴久『1985年の奇跡』双葉文庫

ネタバレ注意。
「管理教育に鬱屈した高校の落ちこぼれ野球部が、転入生の天才ピッチャーを迎えて甲子園を目指すお話」。
…本当に、ただそれだけで説明できる話。そこからはみ出すものは1ミリとしてなく、45字で足りるので、一冊にする必要はなかったんじゃないでしょうか。
単純な文章で、単純なキャラクタたちが、単純な青春ストーリィを、単純な思考回路のままに辿るだけ。工夫とか味わいとか、それによる感興とかなにもなく、ただ想定読者層のノスタルジィに媚びるための風俗描写…「おニャン子」とかその時代かかってた映画とか…が品性なく氾濫しているだけです。ただ、ひたすらに安っぽく。
この程度の書き割りを、俺は小説と呼びたくありません。
評価はC−。

1985年の奇跡 (双葉文庫)

1985年の奇跡 (双葉文庫)