渡辺ペコ『ペコセトラ』祥伝社フィールコミックス

借りました。
短編集です。
端的に言って素晴らしい出来だと思います。日常的な、何気ないやり取りを表現の中心としていながら、鮮烈なインパクトが次々に襲いかかってくる。これぞマンガ、という才能ですね。
特に印象深いのは、作中にとても「いい時間」が流れているということ。現在進行形の事象もそうだし、それを振り返ってのモノローグも、あるいは作中時間を経て「その後」が描かれてもそうだけど、登場人物が作中の出来事を通じて、「いい時間」をはぐくんでいることが素直に伝わる描き方に、なによりの感動があります。一番端的なのは「わたしのおばさん」と「台風クラブ」かな。
しかし個人的ベストは「たまゆら透明少女」。秋田出身の文化系ナイスガイ、ケンゾーくんにシンパシィをおぼえつつ、なまはげというガジェットの使い方、「透明少女」ではいまひとつだった朝子ちゃんも、作品を構成する要素のすべてが素敵でした。《郷土愛じゃん?》の台詞、さらにはラストシーン、出色でした。

ペコセトラ (Feelコミックス)

ペコセトラ (Feelコミックス)