J.トムスン/藤村裕美(訳)『追憶のローズマリー』創元推理文庫

ネタバレ一応注意。
由緒正しい女子寄宿学校(を夏季に借りての創作講座合宿)を舞台に繰り広げられる殺人事件。
なるほどシチュエーションは好みと言って差し支えなかろうが、その割に『ハムレット』かなんかの文学趣味もいささかおとなしく中途半端で、事件の解決に至っても、そこにロジックorトリックの見せ場もない、単なるストーリーテリングに終始。ミステリではあるが本格に非ず、とそんな感じ。
主人公、というか捜査の主体は「ジャック・フインチ主席警部」というキャラクタで、名前からの勝手なイメージでいかにもシリーズ名探偵っぽいけどw、存在感には乏しい。理由は明白で、視点があまりにもコロコロ変わるから。展開の仕方も、「本格」の喜びを伝えることに主眼は置かれていない。
なんだか全てにおいて中途半端な作品でした。
評価はC。

追憶のローズマリー (創元推理文庫)

追憶のローズマリー (創元推理文庫)