阿井渉介『赤い列車の悲劇』講談社文庫

ネタバレ注意。
この作家もこれでラストかな。
≪見たことのない景色見せてよ≫*1というわけにはいきませんでしたね。
今回の奇想は列車消失。「結局人海戦術かよ!」というツッコミは飲み込むとしても、作中での情報提示とその処理が筋道だっていないので、せっかくの派手な不可解状況がうまく消化できないままなのです。ミステリとしてのロジカルな整合性なんて最初から求めようのない作品ではあるのですが、そもそも小説としての構成・展開がロジカルではありません。読んでて常になんだかもどかしいです。
公害や左翼運動といったガジェットには魅力的なものがあったので、一層もったいないトリックバカぶりでした(ある意味褒めてます)。
評価はC。

赤い列車の悲劇 (講談社文庫)

赤い列車の悲劇 (講談社文庫)