島田荘司『網走発遥かなり』講談社文庫

ネタバレ注意。
成城に住む老人の謎の行動、都心を彷徨するピエロの謎、乱歩と同潤会アパートの写真の謎、それら三つの短編が、北海道の雪原を走る列車での殺人/死体消失事件に遡り繋がる、連作長編ミステリ。
都市ミステリとしての短編が、雪列車での死体消失というロマンティックな謎に接続される、雄大な構想の下になる佳編。島荘らしい力技はそこかしこに見られるが、この作品に関してはそれがいい方に出たと評価していいのでは。
個人的に同潤会アパートに興味があって、このぐらいの扱い方では物足りなかったけど、その辺は自分で勉強しましょう。
評価はB−。

網走発遥かなり (講談社文庫)

網走発遥かなり (講談社文庫)