渡辺ペコ『ラウンダバウト』(全3巻)集英社クイーンズコミックス

やっべー。すっげー面白れーよコレ。
やっぱいかんな、マンガ分かったフリしてたら、どこに名作埋もれてるか分からんわ。
大まかに言うと、女子中学生マンガ。ギャグと文学性の配分が絶妙で、そう言うといかにも小田扉を思い出す。実際「『団地ともお』が好きなら」つって貸してもらったんだけど、確かに相通ずるシュールさも感じるが、このマンガで最も大事なのは「女子中学生」成分。女子中学生なりの日常的な感情とか、ほのかなラヴが、実にセンスよく描かれていて、そういうのがよかった。キュンキュンきたぜっ。
出てくるキャラクタも、やっぱり女子中心にどいつもこいつもとても魅力的。主人公の真はもちろん、俺が特に好きだったのはユッコと水上さん。アンビエント聴きながらQJ読んでんの、水上さん! あと出色なのは、草野先生の造形だろう。今まで読んだあらゆる学園マンガの教師像の中でも、トップクラスに素敵だと思う。
エピソードで特に好きだったのは、「風をあつめて」。「創作ダンス」という学校生活上の一要素は、男子である俺にとって不可侵領域で、ざべと同じように「男に生まれてよかった」的な自意識を持ってもいたのだけど、だからこういうふうに感動的な青春ドラマを演出されてしまうと、なんだか新鮮で、一抹の嫉妬をおぼえもしたり。いいね、女子。あとは皆でAV観る話もよかったなー。お願いだから先生をそんな目で見ないであげて! プライベートもいろいろ大変なんだから。
何度か言ったと思うけど中学生期、人生で最もグロテスクな人格だった俺はクラスの女子全員敵に回してたから、そういう意味でも楽しそうなこのコらが実に羨ましくなってしまったよ。青春の痛み…。
最後に。各話サブタイトルがいいね。気が合いそうだ。「MANGA SICK」「風をあつめて」「Communication Breakdown」くらいまでならまだしも、「ペンと知恵の輪」だぜ? どんだけだよ。*1

ラウンダバウト 1 (クイーンズコミックス)

ラウンダバウト 1 (クイーンズコミックス)

ラウンダバウト 2 (クイーンズコミックス)

ラウンダバウト 2 (クイーンズコミックス)

ラウンダバウト 3 (クイーンズコミックス)

ラウンダバウト 3 (クイーンズコミックス)

*1:順にNUMBERGIRLはっぴいえんど、RED ZEPPELIN(あるいはスーパーバタードッグ)、そしてTHA BLUE HERBの曲名。