tacica 『jacaranda』

「北のBUMP OF CHICKEN」、tacicaの2nd。
同い年か…なんかもっと若いかと思ってたぜ。
失礼な話だとは思うけど、やっぱその通り名に惹かれた部分は大きいので、ちょっとバンプとの対比について書く。
聴いて「似ている」とはあまり感じなかった。「20日鼠とエンドロール」や「人鳥哀歌」(「ペンギンエレジー」と読む)、「蜜蜂の毛布」といった曲タイトルからは、確かにバンプの楽曲の大きな特色である寓話性を感じさせもする。その意味においては類似する志向性があるのかもしれないけど、肝心の楽曲からは、藤原レベルの完成度の高い寓話性や、感動的なメッセージ性を感じなかった。難解、というのともまた違うのだけど、よく意味の掴めない詞ではある。
ただ…基調を成すのがそんな、いかにも意味がありそうででも掴みきれない散文的な詞であるので、たまに歌われるストレートなフレーズが、ガツンと響いてくるのも事実。

キミが眠る場所が
この街で一番綺麗な場所であろう
やがて そんな本当を
見失ってしまうだろうか
(「蜜蜂の毛布」)

でも多分、天然だと思う。
そしてそういうフレーズの破壊力を大きく担っているのは、訴求の強いヴォーカルだと思われる。実際俺が最も「似ている」と思ったのは、歌を根底で支えるヴォーカルの訴求力だった。声質とかじゃなく(遠くもないけど)、その楽曲における存在感において。このヴォーカルじゃなきゃさらに説得力は減るだろう。いい歌い手ではあるね。メロディも綺麗だし、シンプルなバンド・アレンジも目新しさこそないがなかなかの好感触。詞・世界観がどんな変化を見せるのか、追っかけてみたいバンドです。
ドラマティックな展開にヴォーカルの魅力がガッチリハマったミディアムチューン「蜜蜂の毛布」がベスト。スピードとパワーが弾けるアンセム系「アトリエ」「人鳥哀歌」、たたみかける展開にストリングスが絶妙の奥ゆかしさで華を添える「メトロ」、高性能のロックチューンは数多い。

ハカランダ jacaranda

ハカランダ jacaranda