柳広司『トーキョー・プリズン』角川文庫

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終戦直後のスガモ・プリズンという舞台設定、そこに連続する不可能状況下での毒死事件、記憶喪失の囚人(戦犯)探偵…。道具立てが完璧すぎる。エンタテインメントとしての構築性、本格ミステリとしての吸引力*1。盤石のリーダビリティへの信頼感は確立されていましたが、しっかり満たしてくれました。
ラストの解決、どんでん返しには性急の感があって、最後でややテンションが落ちてしまったけれど、読んでる間は非常に愉しいです。『ジョーカー・ゲーム』がこのミス二位になって、似たテイストのこの作品も慌てて文庫化、というところかな。いよいよブレイクの機運が高まって、よかったよかった。また文庫化あるみたいだけど、どんどん落としていこう。
評価はB。

トーキョー・プリズン (角川文庫)

トーキョー・プリズン (角川文庫)

*1:普通は逆だろうが、この作家の場合こう言った方がしっくりきたり。単に俺の趣味かもしれんが。