Base Ball Bear 『十七歳』

いや、つくづく面白いバンドだなあと思う。
特に序盤のギターポップの煌きは極上であり、ついにソングライター小出、黄金律を獲得したかと思わせるデキだけど、それも決して一筋縄ではいかない奇形のポップ。実際、近未来的でありながらレトロで、無機質でありながら艶かしくて、無警戒な青さと周到な老成、それが同時に感じられる「独特」としか呼びようのないポップセンスだ。

春風の中、君は花のようだ
広がる髪もスカートも 抱きしめたい
いやらしめな意味でも綺麗な意味でも
突然でも構わないかい? 抱きしめたい
(「抱きしめたい」)

漠然とプレゼントみたいに思っていた
男の子な発想とはいえ
愛してる、君を 間違いはないはず
君と歩んでいきたいはず
愛してる、はず
(「愛してる」)

「抱きしめたい」「愛してる」というタイトルの、しかもシングル曲に仕組まれたアイロニーを頼もしく感じた後では、

その声で呼んでくれよ その瞳で見つめてくれよ
恋心越えた 気持ちは果てしないよ
いつも傍で笑ってよ いつも傍で笑わせてあげるよ
ずっと 僕にとって それが幸せの形
(「協奏曲」)

とかスウィートにバラード唄われたって、「嘘つけw」としか思えない。しかもタイトル「協奏曲」って。
…なのだけど、タイトルチューン「17才」とか、後半の「青い春.虚無」「気付いてほしい」あたりには、思春期の混迷に対するシリアスな吐露、メッセージが見え隠れする気もして。
…信じても、いいの?
しかしこれ、この奇形のポップセンスの正体を解明しようと思ってライヴ行っても、結局ずーっと関根史織さんを観てしまうんだよなあ。
結局永遠の謎だな。

17才 It's a seventeen 檸檬が弾けるような日々
生きている気がした気持ち それがすべてだ
(「17才」)

十七歳

十七歳