2023明治安田生命J2リーグ 第12節 ファジアーノ岡山 2-0 モンテディオ山形

2023.5.3@シティライトスタジアム

当日は唯一許容範囲の値段で宿が取れた神戸まで移動して、翌日大阪中之島美術館での佐伯祐三展"自画像としての風景"を観てきました。画家の人生=画業の全てを知らしめようという意気の感じられる、質量ともに圧倒的な展示でした。俺にとって佐伯はまず「立てる自画像」の作家、ぶっちゃけて言ってしまえば『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』の装画家で、風景画は「ユトリロみたいだなー」ぐらいでそれほど惹かれていなかったのですが、今回の展示で考えを改めた…というか感銘を刻み付けられました。

一人の若い芸術家が、病を抱えながらも希望と憧憬を胸に渡ったパリでの苦闘、家族や仲間と共にある中で横溢する表現欲求と反面の深い孤独、それらを刻み付けた短くも鮮烈な画業…即ち「業」が、画面から、マチエールから筆跡から、見事に立ち上がってきました。もちろん画家としての転換点となった「立てる自画像」はこれまでの思い入れと異なる味わいで感動的でしたが、展示の中心の風景画にはこれまでと全く異なる光があたりました…生で観たら全然違ったわ。第一期パリの風景画はようやく自分の表現をものした喜びに満ち溢れているし、二期パリの画には残り少ない命を燃焼し尽くそうという凄みが感じられて、暗い色調にはどうしたって哀感と寂寥に胸が詰まります。しかし一方で最後期に位置するはずの「煉瓦焼場」は、どうしてこんな闊達でエネルギィに満ち溢れた作品になり得るんだと、芸術というものの神秘を思わずにいられません。

これまでの美術館通いの中でも最高に近い感銘を受けた展示でした。大阪まで行った甲斐は充分以上にありましたね。

…ん? 試合? 岡山? …頭が。