ネタバレ特になし。
1921年、安田財閥の祖を刺殺したテロリスト、朝日平吾の評伝。
『テロルの決算』を意識したような、あまりよくないタイトルだな…と思っていたが、読後は現在の社会情勢と照らした時に、一テロリストの人生の素描というに止まらない意味をもってくる復刊であり、改題であると思えた。
この事件を「原点」とする時代の流れの果てに何が待っていたのか、歴史の帰着はあまりにも明らかだが、その矮小化された似姿に見える情勢を押し止めようという気が、為政者にもそれに権力を付託する側にも全く見えない、絶望の国の情景…。
評価はB。