島田荘司『夏、19歳の肖像』文春文庫

ネタバレ注意。
バイクで事故って入院してる主人公の青年が、病院の窓から見える家の女性に恋をして…という恋愛ミステリ。
主人公が理津子に惚れるのはともかくとして、この程度の描写で逆は無理だろうという気がした。《「私、あなたが好きになったのよ」》(144p)ってのはないだろうと思った。
さすが島荘らしく女性の描き方は一面的で、「恋愛ミステリ」としての結構はそれによって大いに揺らいでいる。真相のどっちらけな感じも、多くはそれに起因する粗雑さであるように感じるなあ。
『異邦の騎士』はやはり奇跡的な作品であったのかもしれない。
評価はC。