ネタバレ注意。
連作短編集で、後のシリーズ・キャラクタ、私立探偵開業以前でフリータの葉村晶と、小林警部補をそれぞれ主人公とする章が交互に置かれる構成。
葉村の章はフリータが様々な事件に巻き込まれる、シチュエーションのバラエティとビターな味わいの豊かなミステリとして、小林警部補の方は倒叙ミステリのバリエーションとして、いずれも愉しく読める。一回親本で読んでるハズなんだけど内容はほとんど憶えてなかったけどな。
短編なので、初期若竹の粘着質な小説作法もそこまで気にならない印象だけど、《また、雪が降り始めていた。灰色の空を背景に雪片を眺めると、雪の方が薄黒く、まるで神様の巨大なフケのように思えた。》(「冬物語」、44p)とか、酷過ぎる文章表現もあるにはあるな。
評価はB−。
- 作者: 若竹七海
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/12/01
- メディア: 文庫
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