ネタバレ一応注意。
入院中のモースがある私家本を基に、19世紀のオックスフォード運河で起きた殺人事件を推理する歴史ミステリ。
推論の繰り返し、というデクスター・スタイルは、このテキストから過去の事件を掘り起こす、というプロットにより一層ラディカルなものに。制約が多い分、お話としてはシンプルになっていて、他の作品のように混乱することがなかったのはよかったかな。ロジックそのものは飛躍が多くて、カタルシスに充分なものはなかったけど…。
でもデクスターは、どっちかっていうと雰囲気を愉しむ感じになっている。大して長くない章の、その切り替わりの度に偏執的に置かれる「文学的」エピグラフも、俺は好きだよ。
評価はC+。
- 作者: コリンデクスター,Colin Dexter,大庭忠男
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1996/06
- メディア: 文庫
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