ネタバレ注意。
主人公は女性キュレーター。金沢近郊のクラシックホテルで、所縁ある女優の回顧展の準備をすすめる中に惹起される怪異…というお話。
ホラーレーベルではあるけど、生理的・情緒的な「怖さ」はあまり感じられなかったし、狙ってないと思う。ミステリ的に怪異の「主体」というものがサプライズを担っているが、これはかなり早い段階で読めてしまう類のもの。タケルくんはじめとして登場人物の方々の造形、あるいはエピソードの構築も、人工的な感じがしてあまりいい印象は持てなかった。
しかしこの小説、全体的にはなんだかいい雰囲気である。金沢の郊外の山裾、湖畔の傾斜地に佇むクラシックホテル、という舞台立ては、様々なガジェットとあいまって好ましく描かれているし、キュレーターの「お仕事小説」としても興味深く読める。
でもキュレーター小説なら、原田マハをいよいよ読むべきなんかな。
評価はB−。
- 作者: 若竹七海
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/12
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (7件) を見る