宮部みゆき『ぼんくら』講談社文庫

ネタバレ一応注意。
江戸深川は「鉄瓶長屋」とそこに住まう人々をめぐる、長編時代ミステリ。
当初長屋の店子たちそれぞれの連作短編と見えながら、やがてそれがより大きな物語へ収斂していく野心的な構成がぴたりとはまっている。基調となる文章の風情、キャラクタ造形の巧みさ…キャッチーでもあり深みもあり…も見事。基礎体力の高いさすがの国民作家。
こうして見ると、「霊験お初」シリーズの超自然要素って別に要らんかったんでは…なんてことまで思ってしまうな。まあそれが枷になってたってより、単純に腕が上がったってことなんだろうけど。
評価はB。

ぼんくら(上) (講談社文庫)

ぼんくら(上) (講談社文庫)

ぼんくら(下) (講談社文庫)

ぼんくら(下) (講談社文庫)