岩井志麻子『べっぴんぢごく』新潮文庫

ネタバレ注意。
岡山の山村、「村一番の分限者」の一族に連なる女たちの六代記。
久々に読んだけど、さすがの岩井節。女たちも、その周辺の様々な「もの」たちも、いずれも存在感抜群。彼女たちの織りなす、性と欲と因縁、全部ひっくるめて「業」にまみれた、血色の絵巻を堪能できます。『百年の孤独』とも『赤朽葉家の伝説』とも無論異なる、岩井流の一族伝記。俺はこのテのプロット好きなんよね。
そうしたカテゴライズを離れても、妖美さを湛えつつも平明な文章と偏執的なドラマ作り、岩井小説のなんたるかを示す好編と言えると思います。
評価はB+。

べっぴんぢごく (新潮文庫)

べっぴんぢごく (新潮文庫)