ネタバレ一応注意。
鮎川哲也賞最終候補作。
女流作家の主人公とその息子(大学院生)がコンビ探偵として、失踪した青年を捜すお話。捜査パートが、その過程で発見された失踪者の手記を挟みこむ構成。
基本はオーソドックスな失踪ミステリ、家族病理、家族悲劇的な視座においても特段の目新しさ、インパクトはない。
…でも、本筋とは離れて愉しく読んでしまって、それは「失踪者の手記」、田舎に引っ込んで古民家改修して農業を営む、というその様子。単に自分の逃避願望を投影しているだけで、またそれが田舎暮らしってのも怖いぐらいベタだし、作中でも悲劇しか待っていなかったんだけど、それでもなんか、楽しそうだよね。
本筋の事件に関しては、正直過程や真相何も思い出せないぐらいだけど、事前の予想も、そしておそらく作者の期待も裏切った形で、エンターテインしてくれた小説でした。
評価はB。
- 作者: 矢口敦子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2002/06
- メディア: 文庫
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