ネタバレ一応注意。
四話収録の短編集。縛りは「元刑事」かな。
各編、硬派で武骨な造作だけど、ケレンというかヒネリというか、端的に工夫というか、小説としてのダイナミズムがあまりに足りないと思った。この連作テーマでたとえば横山秀夫なら、遥かに躍動的なプロット組んでくるぜ。だから好きなんだあの人。
まあなんだ、《日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。》(裏表紙梗概)なんて、どっかで聞いたようなお題目掲げて悦に入ってる場合じゃないだろう。表題作の主人公の、パラノイアックな記録癖という部分だけ、まあ工夫っちゃ工夫だけど、そう効果的とは思えなかったな。
評価はC。
- 作者: 高村薫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/05/01
- メディア: 文庫
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