大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン グミ編』角川文庫

ネタバレ一応注意。
オーケンの自伝的青春小説。エッセィでさえあれだけ良質な青春センチメントを振りまいてたわけだから、面白くならないわけがないと思っていました。
文化系男子高校生の鬱屈と表現衝動、肥大する自意識とそしてなにより性欲が渦巻いて暴発した、笑えるスラップスティックです。
文庫版初版の11年後の今読んでもヴィヴィッドな作品ですが、こういうアプローチはたいして目新しくなく、展開も一本調子の感が否めなかったけれど、ラストの美甘子には「そうくるか!」つー感じで驚きましたね。その前の手紙あたりから、なんとなくいい感じであったのですが。

 大きな、間の抜けたような丸い字でこう書いてあった。
「前略、山口はオールナイトの映画を観に行きたいのですけど、さすがに嫁入り前なので一人で行けません。保護者として一緒に観に行ってくれたりはしてもらえませんかね?」
(190p)

萌えたので次も…と言いたいところですが、『チョコレート編』は持っておらず。
…まあいいや。
評価はB−。

グミ・チョコレート・パイン グミ編 (角川文庫)

グミ・チョコレート・パイン グミ編 (角川文庫)