桐生操『美しき殺人鬼の本』角川ホラー文庫

ネタバレ特になし。
世界史上の「殺人鬼」列伝。
…この人の本読むといつも思うんだけど、類書から抜書きして一冊にして成立する商売ってなんなの? 「参考文献」(几帳面にたくさん挙げられてる)より面白くなってりゃいいんだけど、いかんせん筆力もないんだよね。

 ゲインが殺した女性たちは、二人とも母に似たところがあった。太っていて威圧的な中年女性。かといって、これを単なるマザー・コンプレックスの現れとするのは単純すぎる。
 彼はただ、女性の死体を切り刻むことに強い満足感を覚えていたのだ。厳格で温かい愛を示してくれなかった、母への復讐だったのかもしれない。彼は死体を解体することで、何度も何度も繰りかえし、自分のなかで母を殺していたのではないだろうか。
(217p)

「単純すぎる」とか言いながら、マザー・コンプレックス以上のもの提出できてないじゃんこれ。
その他にも構成上・文章上の問題点は枚挙に暇がない。基本的にあまり頭の良くない人だと思うわ、この人。
少なくともアンドレイ・チカチロの章に関しては、平山夢明の本の方がはるかに面白かった。
評価はC−。

美しき殺人鬼の本 (角川ホラー文庫)

美しき殺人鬼の本 (角川ホラー文庫)