柴田よしき『紫のアリス』文春文庫

ネタバレ一応注意。
情緒不安定な退職OL(てのは変な表現だな)が、身近に起きる殺人と、まとわりつく「不思議の国のアリス」の幻影に悩むサイコ・ミステリ。
なかなかのリーダビリティはあって、スリリングだし、不条理だし、(心理的に)グロテスクだし、後味悪いしでなかなか愉しかった。ババアが作るメシも美味そうだ。
判然としない謎がいくつか残るのも、この小説には見合った処理だなあと思ったけど、西澤保彦が巻末で解説してくれちゃってる。いかにも彼らしい心理分析を駆使し、冷徹に加えられる「解釈」もまた、エピローグめいて読み応えがあります。
評価はB。

紫のアリス (文春文庫)

紫のアリス (文春文庫)