桐野夏生『ファイアボール・ブルース』文春文庫

ネタバレ特になし。
女子プロレス・ミステリ。
そういえばこの作家はプロレスファンやったね。残念ながら俺、人生で一回もプロレスに興味持ったことない。
…というやや小バカにした目線で読んでしまいましたが、小団体の内幕*1とか、主人公(視点人物に非ず)・火渡抄子の魅力とか*2、読ませる部分はある。
ただ、この人独特の淡白な描写・叙述は、キャラクタ・世界観に纏わせようとしているストイシズムとあいまって、ただ淡々とストーリーをなぞるだけのものにも感じられてしまう。実際はそうでもないのに、ストーリー展開に起伏が感じられない。ミロシリーズみたいにテーマ性で読ませるものでもないだけに*3
難しいところだあね。
評価はC。

ファイアボール・ブルース (文春文庫)

ファイアボール・ブルース (文春文庫)

*1:題材こそサッカーだけど『オレンジ』みたいな悲哀の面白さがある。

*2:モデルが神取忍とか言われてしまうといかにも微妙だが。

*3:「女」ってのはもちろん関連してはくるけど。