Cocco 『きらきら』

最高傑作と言っていいと思う。
本当はSINGER SONGERの後に、こういうアルバムが来るもんだと思ってた。爽やかで、キュートで、ポジティブな、ニューモードのCocco。しかし、彼女の「うた」の魅力は根底に、というかこのアルバムのすべての曲に、脈々と息づいている。
美しいメロディと、伸びやかな歌声が織り成す楽曲の唯一無二のスケール感。そうしたストレートなド名曲と、遊びの入った小曲や小エロい曲、バラエティ豊かな18曲が、実に自然に身体に馴染む。特に活動停止前のアルバムに色濃かった「情念」の凄みこそ薄れたが、代わりにこのアルバムにはとても豊かな「情感」が息づいている。根岸のサウンドプロダクトがないのはちょっと寂しいけどね。
かつての彼女は、自分の音楽を排泄物になぞらえたが、最近のインタビューを読んでいても、もはや彼女にとっての音楽はそうした段階のものではないようだ。クッキーやケーキのようなものだと、そうしたなぞらえのそのままに、音楽の幸福に満ちたとても素敵な作品だ。

きらきら

きらきら