ネタバレ注意。
結構寡作だからな、ひさびさだわ。
プロモーション的な問題だと思うけど、一時期片山某とか市川某とかと同じ流れに位置づけられる危機的状況にあって。結局ブレイクスルーはなかったから(寡作だし)有耶無耶になったけど、そっちの路線には一番親和性があったであろう作品。…読む前はちょっと怖かった。
しかしこれがいいんですわ。
小説家としての基礎体力が違うんだよやはり。描かれるのは恋人の喪失、しかも二人分。取りようによっては三人分。しかしそれをまったくウェットにならず、「双子モノ」のメインプロットに合わせて、物語として緊張感のある、筋の通ったものにしている。「筋の通った」小説。そんな表現がぴったりくる。
前半で描かれるささいな失恋に立ち返る、主人公の性的状況の秘密が中盤であまりにもサラリと明かされるなどの小憎たらしいテクニック、ラーメン屋のエピソードや、許容範囲ギリギリの主人公のこまっしゃくれ加減といった描写力。読み易いし、分かり易いけど、そのクオリティにおいてその辺のセカチューとはレベルが違うっつの。
評価はB+。
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