『TAR』

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ベルリン・フィルの首席指揮者として、マエストロと称えられる女性指揮者、リディア・ターの栄光と没落を描くドラマ。

よくできた脚本、緊張感のある演出、ケイト・ブランシェットのドハマリぶりで隙のない佳作だが、さらにはラストカットの衝撃で啞然とさせてくれて、ナイスですね! となりました。

しかし冷静に思い返してみると、リディアの人間性に深みがなさすぎる気がする。ここまで成り上がる才能であれば、もっとこう、なんかあるやろと。本格芸術映画と思わせつつのサイコ・サスペンス、という展開皮相だけを考えれば、あの造形でいいのかもしれんが…人間性の余韻を見せられなかったが故の衝撃的ラストカットであれば、エクスキュースと言われても仕方ないかな。